グループ討論のテーマ説明
WG3:「Immaterial Labor」
WGリーダー | : | 伊藤昌夫(ニル ソフトウェア) |
問合せ先 ML | : | owner-ss2008-il@media.osaka-cu.ac.jp |
討論用 ML | : | ss2008-il@media.osaka-cu.ac.jp |
このグループでは,昨年6月の IWFST2007 in 杭州および12月の SEAForum に引き続いて,Maurizio Lazzarato さんのエッセイ[*] をベースに,無形労働(Immaterial Labor) としてのソフトウェア開発が抱えるさまざまな問題について討論したいと考えています.
[*] http://www.generation-online.org/c/fcimmateriallabour3.htm
われわれがソフトウェアに関わる上で,哲学者・廣松渉さんが提示された標語:「モノからコトへ」が,きわめて重要だと感じられます.「コト」というのは,我々の経験そのものであり,認識における「モノ」はそこから二次的に発生します.ソフトウェアは,無形であるがゆえに,少し気を緩めると抽象的な数値や表層的に見えるものにとらわれ(物象化あるいは「見える化」)の陥穽に落ちこみ), ともすればこの「コト」としての特性を忘れがちになります.Lazzarato さんが示した Immaterial Labor(無形労働)という概念は,労働の本質に根ざしています.その意味で若干冗長な用語かも知れませんが,純粋に「かたちのないモノ」を作る仕事であるソフトウェア作りという活動を真摯に見つめ,また,有形の罠に陥らないようにするために,その主張するところをきちんと理解することが大切だと思います.今回の WG で議論したいことがらの例をいくつか挙げると次の通りです:
(1) ソフトウェア開発プロセスのさまざまなモデルについて
(2) より広範な要求・サービスに関わるプロセスについて
(3) ユーザインターフェイスについて
討論にあたっては,まず最初に無形労働の概念や IWFST2007 および12月のSEA Forum での議論の概要を紹介します.その後で,これからのソフトウェア開発のあり方を探る上で役に立つような討議を,参加者のみなさんと一緒に展開できれば,と考えています.